小児科医からこれだけは言わせて

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【小児科医の提言】変な咳して辛そうだ!クループ症候群の対応

はじめまして、小児科医あきらと申します。

今回はクループに関してご説明します。

大事なことを一番初めに記載しますので

ご確認ください。 

ⅰ.お子さんが息を吸う時に喉、胸を凹ませながら呼吸している!

ⅱ.脈拍が全速力で走った後のように早い!

ⅲ.唇の色がいつもと違って紫色や青色に見える!

ⅳ.よだれが飲み込めなくて口からこぼれ出て、舌も犬みたいに出している!

ⅴ.起き上がって顎を前に、頭を後ろにして口を開けて喘ぐように息をしている!

このような状態になっているお子さんをみたら、近くの救急外来受診してください。
電話で外来に直接相談するか、症状の進行が早い場合には救急車を呼んでいただいて構いません。
気道閉塞は緊急性が高いため、迷ったら救急車で問題ないです。

 

 

以降は①定義 ②原因 ③症状 ④治療 ⑤治療後の見通し

にわけてお話しようと思います。

本稿は 金子堅一郎著 イラストを見せながら説明する子どもの病気とその診かた (南山堂)を参考に記載しております。その他引用、参考資料に関しては最後に記載しております。 

 

①定義

喉頭を中心とする部位の急性の炎症(主にウイルス感染)により、気道が狭くなり、息が吸いにくく、吸えなくなってしまう病気です。

喉頭とは、喉の奥から気管が始まる部分までのことです。

喉頭の仕事は食事を食道に運び、空気を気管に運ぶこと、声をだすことです。

大抵3ヶ月以降の乳児から6,7歳のお子さんにみられます。特に冬の夜に多いです。

 

②原因

クループを生じる原因はウイルス(RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスなど)によるものがほとんどですが、アレルギーが原因となることもあります。

非常に稀ですが、細菌性感染の場合、喉頭蓋と呼ばれる、気道に蓋をする役割がある重要な部位がパンパンに腫れ上がってしまう喉頭蓋炎と呼ばれる状態になります。これは厳密にはクループと分けて考える必要があります。

現在ではヒブワクチンの導入で発症率は大幅に減少しています。

 

③症状

声帯がむくんでしまい、声がかすれたり、犬がケンケン吠えるような咳を生じます。(犬吠様咳嗽:けんばいようがいそう)喉を痛がり、呼吸が早く、息苦しくなりますが、言葉の発達が未熟な時期であれば、苦しいという訴えが自分からできない場合もあるため、変な咳をしているなと思ったら早めに病院を受診するのが良いと思います。

 

④治療 

加湿することが大事です。外来ではアドレナリンの吸入を実施します。

また、クループによる病変の浮腫を取るために内服ステロイドを使用します。大方の症例では外来で吸入実施後症状は軽快し、帰宅できますが、一部症例では入院加療が必要となる場合がありますので、いずれにせよ、症状が続く場合には適宜再診が必要になります。

 

⑤治療後の見通し

良性疾患です。慢性化することはないので、急性期の治療を行ってからは経過観察で問題ありません。

クループの診断に至った場合、繰り返す場合もありますので、その場合には再度病院を受診する必要があります。

 

 

 

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どうぞよろしくお願い申し上げます。

小児科医あきらでした。