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【ある小児科医の提言】熱が上がって喉を痛がっている…!溶連菌性咽頭炎について

こんにちは、小児科医あきらです。

溶連菌感染症について記載します。例のごとく初めに大事なことから記載していきますね。

溶連菌性咽頭炎は、「治せる病気」の一つです。どうしてそのように表現するかというと、小児科でも成人でも一般外来を受診する患者さんの多くはウイルス感染といえますが、インフルエンザウイルスなど特殊な例を除いて対症療法で経過観察する疾患が多いです。しかし、溶連菌性咽頭炎は抗菌薬での除菌により治療ができます。また、1~数週間後に起こりうるリウマチ熱や急性糸球体腎炎の予防のためにも早い診断が望まれます。そのため、疑わしい場合には積極的に迅速検査を提出し、診断、治療を行うべき疾患です。

では概要からお話します。

 

 

概要

溶連菌による咽頭炎は小児の咽頭炎のおよそ15%を締めます。

咽頭痛や咽頭発赤があるのに、鼻汁や咳嗽がないときは溶連菌性咽頭炎を疑います。

真夏に一時的に流行は減りますが、基本的には年間を通して流行がみられます。

 

症状

咽頭痛、発熱で急激に発症します。

診察では扁桃の発赤、白苔と呼ばれる、喉の奥の白い塊の付着をみることが多いです。口の所見としては苺舌と呼ばれる、舌の表面がいちごのようにブツブツになる症状も出ることがあります。

また、前頸部リンパ節腫大や、(小児では特に)嘔吐などの消化器症状を伴う場合があります。

発熱後12-24時間経過してから発疹を伴う発熱が続く、「猩紅熱」と呼ばれる感染症に至る場合もあります。

 

続発症

A群β溶連菌感染から2-3週間ほど経過してから、急性糸球体腎炎やリウマチ熱などを続発することがあります。それぞれの症状に関しては下記の通りです。

急性糸球体腎炎:血尿、尿量減少、むくみなど

リウマチ熱:発熱、関節の痛み、心内膜炎や心膜炎など

 

診断

外来受診のその場ですぐわかる迅速検査キットがあります。特異度は高いですが、感度がやや低く、感染があったとしても陰性となってしまう例が一部で見受けられます。

3歳未満では続発症が稀であり、積極的な迅速抗原検査は不要といわれています。さらに、健康なお子さんに病原性を持たない溶連菌保菌者がいることもあることを念頭において検査を提出します。

 

初期治療

続発症であるリウマチ熱を発症させないためにも、10日間の抗菌薬(サワシリン、ワイドシリン)投与が必要となります。決して「よくなったからもう薬いらないよね」と服薬を止めないでください。治療失敗や続発症に繋がる場合があります。治療失敗と評価した場合には別の種類の抗菌薬を使用し、除菌します。

基本的には抗菌薬開始後24時間経過すると他の人への感染力はなくなりますので、保育園や小学校へは登園登校可能です。感染後は前に記載した続発症である、急性糸球体腎炎のリスクが有るため、体がむくんだり、血尿が出たりした場合にはすぐに医療機関を受診してください。

 

最後に

以上が溶連菌性咽頭炎のまとめとなります。溶連菌って時々聞くけどよく知らなかった!という方も多いのではないでしょうか。少しでも参考になれば幸いです。

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どうぞよろしくお願い申し上げます。
小児科医あきらでした。