小児科医からこれだけは言わせて

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【ある小児科医の提言】けいれんしてる!小児のけいれんに関しての一般的な話

こんにちはこんばんは、小児科医あきらです。
 
今回は小児のけいれんに関してご説明します。
一番最初の投稿で「熱性けいれん」に関して記載しましたが、今回はけいれん全般に関してお伝えしようと思います。本稿は 金子堅一郎著 イラストを見せながら説明する子どもの病気とその診かた (南山堂)を参考に記載しております。
大事なことを一番初めに記載しますのでご確認ください。 
 
「けいれん発作の持続が30分以上続くか、短い発作でも反復し、その間意識回復がないもの」を、けいれん重積状態といいます。
・けいれんが10分以上続く場合には救急対応が必要となりますので、近隣の救急外来受診もしくは救急車の要請が必要となります。
痙攣の治療原則はまず痙攣の原因を調べ、原因に対する治療を行うことです。
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以降は①定義 ②原因 ③症状 ④治療 ⑤治療後の見通し
にわけてお話しようと思います。
 

 ①定義

「けいれん」と「ひきつけ」は同じで、子供の4-11%に診られます。
多くは中枢神経系の以上興奮による発作性の症状です。
けいれん発作の型には
・強直けいれん:手足が固くなって突っ張ります。 呼吸を止めて眼球は一点を凝視します。
・間代けいれん:手や足、顎をガクガクと震わせ、まぶたを閉じたり開けたりします。
・強直間代性けいれん:強直けいれんから間代性けいれんに移行するものです。
・ミオクロニー痙攣:手足の筋肉の一部がぴくぴくと動くことを指します。
・脱力痙攣:筋肉の緊張が低下し、倒れる
 
多くは意識の低下、消失を伴います。
 

②原因

原因は発症時期によって異なります。
・新生児のけいれん
新生児の痙攣は特殊で、まばたき、呼吸を止める、眼球が動く、自転車を漕ぐような動きみられます。
①低血糖→ブドウ糖の投与
②低カルシウム血症→カルシウム剤の投与
③低マグネシウム血症→マグネシウム剤の投与
④ビタミンB6欠乏・依存症 →ビタミンB6の投与
⑤その他けいれん →抗けいれん薬
各々の原因に対しての治療を行います。
 
・乳幼児のけいれん
この時期が一番けいれんが起こりやすく、ほとんどが熱性けいれんによるものです。
良性のけいれん:熱性けいれん、泣き入り引きつけ、良性乳幼児けいれん、身震い発作、てんかん(小児欠神てんかん、良性ローランドてんかん)など
悪性のてんかん:West症候群、乳児重症ミオクロニーてんかん、レノックスガストー症候群、急性小児片麻痺、もやもや病、ライ症候群
など挙げられます。
 
・学童のけいれん
主にてんかん性・非てんかん性に分けられます。
非てんかん性けいれんは、主に中枢神経感染症や脳腫瘍によるものがありますが、中には心因性発作、ヒステリーとよばれる、けいれんを装っている偽発作、失神発作も鑑別として重症になります。
てんかんには、内側側頭葉てんかん、ガストー型小児後頭葉てんかん、若年ミオクロニーてんかんなど様々な疾患が原因としてあげられます。
 

④治療

治療に関しては原因精査し、原因によって異なるため、けいれんの項目としての治療を明記することはできません。
けいれん重積をきたしている際には速やかにけいれんを止める薬を使用します。
その後、けいれんをきたしたそれぞれの原因に対しての治療を行っていきます。
 

⑤治療後の見通し

鑑別診断は多岐にわたりますが、精査のためにはまず病院受診をしていただかなくてはなりません。
お子さんにけいれんが起きた際には、(初回であれば特に)すぐに病院を受診してください。
けいれんが止まらない場合や、意識の戻りが悪いように見えた場合には迷わず救急車を呼んでください。
そしてけいれんが起きている際には危険物周りにあった場合にはすぐに離し、目を離さないようにしてください。
けいれんの状態、持続時間は診断のために重要なヒントになります。
精査に関しては医師の診察にお任せください。
必要な検査を必要なタイミングで実施し、治療を行います。その点に関してはどの地域のどの医師を受診しても大丈夫ですので、その点はご安心ください。
 

 

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どうぞよろしくお願い申し上げます。
小児科医あきらでした。
2019/6/17