小児科医からこれだけは言わせて

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【ある小児科医の提言】うちの子が発熱…!どうしよう? 発熱時の対応について

はじめまして、小児科医あきらです。

 

今回は小児の発熱に関してご説明します。

大事なことを一番初めに記載しますのでまずご確認ください。 

 

お子さんが発熱したときの受診の目安

・生後3ヶ月未満の発熱なら夜間でもすぐに受診

・3日以内に熱が下がらない場合には受診(再診)

 


発熱とは簡単に言いますが、星の数程原因が挙げられ、重症なものから軽症で治療を要さないものまであります。なお、本稿は 金子堅一郎著 イラストを見せながら説明する子どもの病気とその診かた (南山堂)を参考に記載しております。 

 

①定義 ②原因 ③症状 ④治療 ⑤初期治療後の見通し

に分けてご説明します。

 

①定義

まず、平熱の定義から。「健康な人の平常の体温」

成人では代謝活動に最適な37℃前後に保たれている。

小児では、、、

発熱とは、超シンプルに言えば通常より高い体温のことです。

小児の正常体温は新生児期の37.5℃から徐々に下がって36.2℃程度までを正常ととります。

主に腋窩でとることが一般的とされています。

 

②原因 

原因となる疾患は大きく感染症、自己免疫疾患、腫瘍などの悪性疾患に分けられますが、ほとんどが感染症によるものです。

感染症による発熱の場合、何らかの病原体に対しての免疫機能として、活性化された白血球から、内因性発熱物質が放出されます。それが脳の視床下部に作用して体温調節のセットポイントを上昇させ、体内で熱産生を促し、結果的に発熱します。

 

③症状 

発熱をきたすことは必ずしも悪い影響だけでなく、良い影響もあります。

良い影響:免疫の働きを高め、生体の防御力が強まる

悪い影響:寒気、体力消耗、高熱せん妄、熱性けいれん

 

余談ですが、熱性けいれんに関しては別の記事を書いているので、もしよければ御覧ください。

 

④治療

治療というよりは初期対応となりますが、衣類はいつもどおりで構いません。

薄着にする必要も厚着にする必要もないです。

生後6ヶ月以降であれば解熱剤を使用することができます。

発熱が悪い影響しか与えないわけではないのは先に述べたとおりなので、発熱により、お子さんが水分摂取できない程度までぐったりしている場合、本人の不快感を取り、その間に水分摂取を促したり、寝付けたりすることを目的として解熱剤を使用します。およそ3-6時間で効果は切れます。

 

気をつけなければならないのは生後3ヶ月未満の赤ちゃんの発熱です。3ヶ月までは母親の免疫により、赤ちゃんが守られているため、感染症に至ることは少ないです。そんな母親の免疫に守られている3ヶ月未満の赤ちゃんの場合においても大半はウイルス感染による発熱なのです。しかし、中には重篤な細菌感染症をきたしている場合があり、その症状は急激に進行し、血液の中に細菌が生えてしまう「敗血症」と呼ばれる状態になってしまうと、死に至ることもあります。赤ちゃんが発熱に伴ってぐったりしていたり、目がうつろだったり、ミルクを飲まなくなってしまっている場合は緊急性が高いです。

なので、冒頭にも記載したとおり、速やかに病院を受診してください。

 

⑤治療後の見通し(予後)

一般的なウイルス感染であれば3日以内に解熱しますので、その間は対症的に加療をします。

脱水をきたすことがない限り、入院加療の必要性はないことが多いです。

もちろん、発熱の原因に対しての加療を適切に行なっていけば、特に問題なく復調します。

発熱が続く場合には感染症だけでなく、②で述べたような自己免疫疾患、腫瘍なども考慮する必要があります。

病院を受診し、適切な精査を受けてください。

 

雑多な内容となってしまいましたが、以上が発熱時の対応のまとめとなります。

とにかく知っていてほしいことは「生後3ヶ月未満の発熱は重症感染症の可能性があるため、すぐに病院を受診する。3日以上発熱が続く場合にも精査の必要性があるため、病院を受診する。」ということです。

 

医師としてはまず直接診て評価したい、という考えがあります。ネットの情報に踊らされること無く、心配であれば地域の小児科クリニックを受診してください。

 

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

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どうぞよろしくお願い申し上げます。

小児科医あきらでした。

2019/6/12