小児科医からこれだけは言わせて

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蜂に刺された!🐝どうしよう?ハチによる虫刺症について【小児科医の提言】

お久しぶりです。
小児科医あきらです。
虫刺されと一言で言ってしまいますが、虫の種類は様々です。今回はスズメバチやアシナガバチに刺されて来院されたお子さんが立て続けに外来に受診されたので、まとめてみました。 

 

受診の目安

どんな虫刺されだろうが、まず知りたいのはこの点だと思います。 

救急車を呼ぶ必要がある場合

  • 全身に発疹が出現した
  • 呼吸が浅くなる・息苦しそうにしている
  • 顔色が悪くなり、ぐったりしてきた
日本に生息している虫には、命に関わる毒を持つ虫はほとんどいませんが、アナフィラキシーと呼ばれる強力なアレルギー反応が出現する可能性があります。上記の症状がみられた迷わず救急車を呼んでください。30分以内にショック症状(血圧が保てず命に関わる状態)に至る場合があります。

近くのクリニックを受診させたほうがいい場合

  • 痛みや赤みやかゆみは局所的であるものの、症状が強く市販の鎮痒剤で改善しない
  • 掻き壊してしまって、発赤の範囲が広がってきた
こういった際にはお近くの皮膚科もしくは小児科を受診し、対応してください。
 

ハチに刺されるとどうなる?

日本にいるハチとしては、「ミツバチ」「アシナガバチ」「スズメバチ」が代表的です。ミツバチは一般人が刺されることは少ないですが、アシナガバチやスズメバチは普通に住宅地の庭や、少し山にハイキングなどにでかけたりすると出くわすこともあると思います。
刺された直後に激しい痛みが出現し、赤く腫れます。ハチ毒の刺激作用のためであり、1日で痛みは治まります。しかし、その後(2回目以降)にハチ毒に対するアレルギー反応が出現する場合があります。刺された直後に蕁麻疹を生じたり、1-2日で発赤、腫れが悪化したりします。即時型のアナフィラキシーというものが生じた場合には30分程度で意識消失・血圧低下が生じて生命の危機に瀕する可能性もあります。

予防

ではどのように予防すれば良いのでしょうか。当たり前の事かもしれませんが、
特に夏場では野外では肌の露出を避け、虫よけスプレーや、携帯式蚊取りなどを活用することが予防となります。 
それぞれの予防方法に関してはそれぞれの商品の用法用量をきちんと確認して使用するようにしましょう。また、周囲にハチの巣があるような場所で子どもたちを遊ばせたりしないよう、保護者の方は注意が必要です。 
アナフィラキシーの予防として、一度スズメバチなどに刺されているお子さんの場合、アドレナリン自己注射薬(エピペン®)を携行しておくことが望ましいとされています。一度スズメバチに刺されたお子さんは、かかりつけのクリニックで自己注射に関してご相談ください。

治療

初期対応

ハチによる刺咬の場合、初期に現れる疼痛に対しては,保冷剤による局所冷却が効果的です。安全な場所に移動して冷却を試みてください。

受診後の対応

炎症反応抑制のため、外用薬を処方します。症状が強い場合には鎮痛薬や抗炎症薬を追加する。じん麻疹や瘙痒に対して抗ヒスタミン薬を使用します。ミツバチの虫刺症では皮膚に残存している毒針を鑷子で除去します。
「アナフィラキシー」が疑わしい場合には、アドレナリンの筋注を速やかに実施し、点滴、気道確保、酸素吸入を行います。一度症状が軽快したとしても、しばらく経ってから症状が再燃する場合があるため、入院加療が必要となります。

小児での虫刺されの特徴

小児では、多くは皮膚症状や血管性浮腫が主症状であり、成人に比べて軽症である場合が多いとされます。しかし、重篤な全身状態を引き起こすこともあります。初回刺傷において軽症の場合、再刺傷においても91%で全身症状の出現は認められないという報告や、中等症から重症を経験した小児の32%が再刺傷で同等の重症度を呈するという報告があります。
つまりは初回の症状が軽微ならその後も全身症状をきたすことは少なく、最初から重い症状が合った場合には2回目以降も重篤化する可能性が高い、とのことですが、実際に重症度を予測することは困難です。
アレルゲン免疫療法というその後のアレルギー反応を軽減するための治療もありますが、残念ながら日本では保険適用外となっています。。。ハチ刺症後20%の人にハチ毒特異的IgE抗体が産生され,再刺傷によってアナフィラキシーを生じるおそれがあるとされています。 免疫療法や、エピペンの携帯の必要性があるかどうかに関して、まずはかかりつけの先生にご相談ください。

まとめ

ハチによる虫刺症で怖いのはやはりアナフィラキシーです。最初にも書きましたが、 
  • 全身に発疹が出現した

  • 呼吸が浅くなる・息苦しそうにしている

  • 顔色が悪くなり、ぐったりしてきた

これらの症状がみられた場合には迷わず救急車を呼んでください。その判断がお子さんの命を救います。

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どうぞよろしくお願い申し上げます。
小児科医あきらでした。