小児科医からこれだけは言わせて

写真が趣味の小児科医が小児臨床の現場のことやカメラのことを記載していく

自分、無給医でした。

こんばんは、小児科医あきらです。

昨日からずっとドメイン変更の設定を色々調整していましたが全然うまくいかない。もともとのアドレスへのアクセスで問題なく閲覧はできるようなので、慌てず設定していきます。

 

ブログを始めてから、いいテーマ・題材はないかと臨床にあたっていますがなかなかおもしろい題材に毎日遭遇するわけではないですね。以前に取り扱った内容を掘り下げることも、ニッチな内容に関して言及するのも手段の一つでしょうか。少しでも役立つ情報をシェアして、困っている親御さん、つらい症状をきたしているお子さんたちのためになれたらといいなと常々思っています。

 

心がけていることとしては、

・一番大事で伝えなければならないことを一番最初に書く

・特定の症候について書くなら、受診すべきタイミングはいつかを書く

です。しかし、実際には患児を診て判断しなければならないことが数多くあります。

迷ったら早めのクリニック受診をおすすめします。 

 

Twitterをやっているので、もしよければフォローをお願いいたします。診療をしていてシェアしたい事があった際にブログ記事にするほどではないかなということはこちらにつぶやいていきます。

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「小児科医からこれだけは言わせて」、とは名がついていますが、肩の力を抜いて、ただのコラムを読むようなスタンスで読んでくだされば嬉しいなと思います。

 

小児科医の勤務実態(医局員の場合)

今回は小児の疾患に関してはお休みにして、自分の勤務経歴でも記載しようかなと思います。

 

自分のような大学病院などの医局に所属する医師は基本的にその医局に関連する病院で診療や研究にあたります。今現在、僕は医局からの派遣で、都内市中病院の小児科医員として、正規の常勤医として仕事をしています。

当直は月に5~6回。時間外勤務と当直手当で基本給と同じ額程度の給料が入ります。それとは別に小児の検診や地域の準夜診療所、休日診療所の外来などの外勤(アルバイト)があり、比較的安定した所得があります。

 

医学部を卒業し、国家試験を突破するとまずは初期臨床研修という研修期間に突入します。内科外科などに関わらず、必修の科を1-3か月おきに巡り、一番下っ端の研修医として働きます。各科の医師には自分の外来や先ほど記載したような外勤、自分の研究もあり、病棟にいる時間は少ないです。しかし、研修医には外来、外勤はありません。(研究に関しては個人の自由であり、興味があれば関わっていくこともできます)病棟にいる患者さんに関してひたすら勉強をして、第一線で診療にあたることができる期間です。

 

自分は循環器内科、脳神経内科、小児外科、膠原病内科、救急診療科、糖尿病内分泌内科、血液内科、麻酔科、精神科、産婦人科など、自分の専攻ではない科を回り、その期間での患者さんとの出会いによって、自分の医師としての最初の土台となる部分が仕上がったと思います。素晴らしい師に会い、とても良い経験ができました。

 

大学病院での研修であり、月に25-27万円程度の給与でした。ボーナスや当直手当、時間外手当などはありませんでいたが、研修は充実していたし、生きていくのに困ることはないし、何も文句はありませんでした。適切な給与であったと思います。雇用契約もきちんとありました。

 

臨床研修医が終わり、大学病院での医局員として働き始めて驚愕したのは、基本給がないということでした。

常勤として働いているにもかかわらず、常勤医という扱いにはなっていませんでした。給与がなければ生きていくことができません。医局から分与された外勤(アルバイト)を月に8回程度こなし、月に6回の当直手当(医局員ならごくわずかですが当直手当が出ました)で生活していました。

病院勤務なので、病気になってしまった場合には大学病院受診を減免することができましたが、交通費、住宅手当、ボーナスなど、そういった類のものはまったくなく、働けなくなったらオシマイみたいな状況でした。

 

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数十年とそういった体型で漫然と変革なくそういったことが許されていたのは、「それでも生きていけるから」という理由だと思います。

実際に諸々のバイトで月に60-70万円は維持できていました。そこから諸々の雑費を引いて手取りは40-50万円程度だったと思います。しかし、時間外勤務や当直などを考慮すると実際のところ、大学病院に搾取されていたような状況にあるといっても過言ではない状況だったと思います。

毎日勤める病院からは給与ゼロで、アルバイトにでてようやくお金がもらえる生活。

自然ではないですね。そんなことを今の病院に来てから考えていたら、つい先日ニュースを眺めていたらこんなニュースがありました。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

自分はまさにこの中のひとりでした。

雇用契約なく、労災保険もなかったものですから、今の病院に移ったときに、なんと素晴らしい雇用形態なんだ、と感動した覚えがあります。

今考えれば以前がおかしかっただけでした。一般世情に疎い医師を雇用契約なく使い続ける奴隷制度とも言うべきこの無休医というものが今後なくなっていくことを祈ってこの記事の締めといたします。

ここまで読んでくださってありがとうございました。今日もアルバイト、がんばります。

2019/07/21